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#13 三百年間、愛され続ける老舗の味 若栄屋 十六代当主


プロフィール

氏名 後藤 源太郎(Gentaro Goto)
職業 若栄屋 十六代当主
1974年生まれ。静岡県焼津市出身。
1999年 東京情報大学卒業後、大分市内の大分全日空ホテル オアシスタワーへ就職。
2005年 8月に前職場を退職し、大分県杵築市に創業316年『若栄屋』の16代目当主として現在まで活躍。
影響を受けた言葉:「死ぬ気でやれよ、死なないから。死ぬ気、それは本気。必要なのはこれだけだ。」杉村 太郎氏【1963年〜2011年】
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後藤さん、はじめまして!お忙しい中、インタビューに応じていただきありがとうございます。まず最初に後藤さんの『hassh.in』を教えてもらえますか?

『若栄屋』の『鯛茶漬け うれしの』という歴史ある大分の味を、お店だけで守るのでなく、市街・県外・国外に向けて、発信していく事が、私の使命だと感じています。

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『鯛茶漬け うれしの』は、江戸時代末期から大分に続く「食」という事ですが、すごい歴史がありますよね。この『うれしの』という名前は当時から命名されているのですか?

この鯛茶漬けには、あるお話があるんです。
その昔、杵築のお殿様が『大谷屋』というお店の鯛茶漬けを召し上がった時に「うれしいのぅ。」と口にされたとの事で、その事を家臣から聞いた『大谷屋』が、お殿様が喜んだ鯛茶漬けに『うれしの』という名前を付けたとの事です。その『大谷屋』こそが現在の『若栄屋』になります。
この鯛茶漬けは、おかげさまでメディアに取り上げられる事も多く、グルメ漫画『美味しんぼ』第71巻にも紹介された事もあるんです。

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そんなエピソードがあったんですね。『美味しんぼ』に掲載されたお店に来たのは、生まれて初めてです!
創業316年『若栄屋』さんの十六代目当主という事ですが、もうずっとこのお仕事一本でやられているんですか?

いえ、実はそうではないんです。
私の初めての職はホテルに就職が決まり、今の『大分オアシスタワーホテル』で働いていました。
最初はてっきり「フロントにでも行くのかな?」という、感覚だったんですが、実はフロントではなく、オアシスタワーの最上階のバーに配属されたんです。
そこはロケーションが良いので、フレンチ料理も提供しているバーなのですが、そのバーにしばらく働かせてもらっていました。
その後は、2階にあるイタリアンのレストランに配属され、イタリアンのバイキングや、ワインのペアなども勉強させてもらい、やっと覚えてこなしてきた頃に、次に和食に配属されて、そこで和食や和の勉強が出来て、更に次に、宴会を行えるバンケットですね。そこで経験を積んで、その後に、やっとフロントに入れました。そういう内容の業務を前職場では経験しました。
ようやくフロントに慣れて、やりたい仕事が出来て、そこから急に今の『若栄屋』を継ぐ事になったんです。

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結果的には、全職場のバーでお酒の事を教えてもらえ、イタリアンのお店では、『クイックサービス』といって、大衆的なイタリアンレストランだったので、ものすごく早く接客をしたり、テキパキ動くという事と、『ワインフェア』というキャンペーンも実施していたので、十何種類とあるワインを覚えたり、抜栓の技術や立ち振舞を勉強させていただく事が出来ました。
その後の和食に関しても、今の仕事に通ずる所もあるのですが、厳格な礼儀作法であったり、和食に関する知識などを勉強し、宴会場では結婚式場も兼ねてありましたので、結婚式場でのお客様のもてなし方も少しだけ勉強させてもらい、その後のフロントの業務を入れて、約7年間働いてましたね。

ホテルといっても、様々な職種がありますね。後藤さんのいろんな経験が『若栄屋』さんでも発揮されているわけですね。いつかはこちらを継ぐご予定だったのですか?

いえ。ホテルでの仕事は、特に継ぐ為の修行という訳ではなくて、若栄屋を継げという事は一切言われていませんでした。
元々、私の叔父が『若栄屋』を継いでいたのですが、その叔父が10年前に他界してしまったんです。叔父は後継者を作っていなかったので、このままじゃ『若栄屋』は閉める選択肢しか残っていなかったんです。
そこで急遽、私の父が「潰すわけにはいかない。」という事で、十五代目当主として『若栄屋』を継ぎました。
しかし父もずっと、『若栄屋』で働き続ける事が出来る訳ではなかったので、そこでたまたま私が、飲食やサービス業としての仕事をしていたのもありまして、「ちょうどいいんじゃないか?」と言われた事がキッカケで、十六代目当主として継ぎ、今に至ります。

そういうキッカケからのスタートだったんですね。
現在、『若栄屋』の十六代目として、お店も守りつつ、県外でも率先的に活動をされていらっしゃるとの事ですが、楽しいと感じる事は何か教えて頂いてもいいですか?

最終的には、杵築市や大分県を知って頂くという事ですね。
別に、大分県杵築市に『若栄屋』という料理屋さんがある事を知って頂くとか、それによって利益が生じるという事が楽しみではないんです。
ここ杵築市の良さとして、近くに大分空港もありますから、日本中の方や国外の方が杵築に立ち寄って来てくれて、大分の良さを少しでも多く知ってもらう、という事に喜びを感じております。

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せっかく大分に来てもらったんですから、良い所はなるべく多く知ってもらいたいですよね。後藤さんの『hassh.in』の中での、目標や夢を教えてもらってもよろしいですか?

最終的には、この杵築市という地に観光客としてお客様が山ほど来てくださる事が今の目標ですね。
杵築市には宿泊施設というものがない土地でもありますので、杵築市に立ち寄って頂ける方が多くなっていく様にしていきたいです。
杵築市が来る理由になるのであれば、それは別府市や湯布院や大分の宿泊施設にほんの少しでも、お力添えできるのではないかと考えていますね。

大分という地に来てもらえるキッカケづくりって大事ですよね。
そんな後藤さんの『hassh.in』の原動力を教えてもらえますか?

実は東京の新宿タカシマヤで「鯛茶漬うれしの」をお食事処で提供するイベントがあるのですが、その準備に現在、大忙しで色々な方々にご協力いただいているのですが、そうやって準備していく中でのプレッシャーですね。(笑)と、いうのは冗談なんですが。

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「この店、潰れるかもしれない。」という所にあるかもしれないです。
元々、こんな形の建物になってますので、大型の結婚式場として、バブルの頃はものすごく賑わっていたんですよ。
そこから地方で結婚式を挙げるという事がどんどん失くなり、大分市内等で挙げるのが通例になりつつあるじゃないですか?私もホテルにいましたので、そこは感じますね。

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若栄屋は元々の結婚式をメインにやっていた頃からは、大きく外れてきてしまったんです。
20年ほど前から、収益としては下がってしまっています。
そこは業態を変えて、せっかくの大きい施設なので、代理店さんにお願いをしてお客様を呼んでいただいています。
後は、ずっとここで待っているだけでは、お客様はいらしてくれないですから、市外・県外に出て、お取り寄せの催事に参加したり、イートイン等に参加していきもっと多くの方に知って頂く努力をしていかないといけないと思います。

「カッコイイ大きな夢を描く」事も大切です。が、一番の原動力は「この杵築の若栄屋の『鯛茶漬け うれしの』という江戸時代からの味の歴史を失ってはいけない。」という想いですね。

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私よりも、もっと年上の方がファンとしていらっしゃいますから。
「その方達の為にも!」というのは原動力になりますね。

後藤さん、実は前回のインタビューさせて頂いた綿貫さんから、ご質問を預かっていますので、お答えください!

—Q.綿貫さん:「今年の自転車の目標は?」

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—A.後藤さん:「まずは2年前のピークまで戻す!それと、2年前のピークよりも超えるぐらいの練習をしたいと思います。」

2年前が一番乗られてたんですか?

2年前から乗り始めて、その時が一番時間を作って乗れていたので。
乗る為に身体は絞ったんですけど、仕事も頑張りながら、自転車に乗れる時間を作って乗りまくりたいと思います!

江戸時代から続く老舗料亭 『若栄屋』の『鯛茶漬け うれしの』をもっと知ってもらい、この大分の味の歴史をこれからも杵築から伝え続けていく、後藤さんでした!

次のhassh.inは誰でしょう?

次回の「hassh.in」は、事業について多くのご意見をもらい、後藤さんが恩返しをしたい!という、伊藤さんです!

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大分の老舗料亭 若栄屋

住所 〒873-0001
大分県杵築市大字杵築665-429
Tel 0978-63-5555
Fax 0978-63-2345
Mail info@taicha.jp
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