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#7 おんせん県のアンサング・ヒーロー


プロフィール

氏名 大土井 仁志(Masashi Odoi)
職業 公益社団法人 ツーリズムおおいた 次長
1967年生まれ。大分県大分市出身。
JTB九州へ入社後、主に海外旅行を担当する。
2011年4月〜現在に至るまで、大分県の観光協会「ツーリズムおおいた」に出向中。  
現在は、ツーリズムおおいたの次長として、県と一緒に大分へ来てもらう様々な取り組みを推進中。
ダンディーな見た目と、ダジャレ好きなキャラクターのギャップが魅力。
※アンサング・ヒーロー・・(unsung hero)「縁の下の力持ち」という意味。歌われることのない英雄。

県外から大分に人を誘致する施策を考えられてる方からお話し聞けたら、面白いだろうなぁと楽しみにしてきました。宜しくお願いします!

いえいえいえ。僕なんて、何もできないですから。言うばっかりなんで。
おんせん県なので『湯』(ゆう=言う)ばっかりみたいな。すみません。(笑)少しは和みました?!(笑)

一気に和みました(笑)ありがとうございます!早速聞いていきたいと思います。
まず、大土井さんの『hassh.in』を教えて下さい。

今はJTB九州から出向して、いかに大分に外から人が来てもらえるか?大分の良い所とか、大分のステキな所をいかに発信していくか?という仕事なんですよね。
発信の仕方も、イベントをしたりだとか、もしくはそういう情報誌を作ったりHPの中で情報を発信したりとかという事なんですけど、
僕の役目というのはやはり旅行会社の人間なので、いかに旅行会社に大分の商品を作ってもらったり、旅行会社の人に大分をお客様に勧めてもらうか。というやり方に主に携わっています。

県外の方に来てもらう為の旅行企画ですか?

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はい。実は僕、JTBに入ってここの『ツーリズムおおいた』に来るまでは、旅行会社も色々セクションがあるんですけど、海外旅行の担当ばかりだったんですよ。
なので会社に入社して海外旅行課というところで営業をして、大分のお客様を海外にお連れする。
要はお客様を外に連れて行くっていう仕事だったんですよ。福岡に転勤した時も、海外旅行の商品を作る部署にいたんですよね。
なので『ツーリズムおおいた』に来るまでは、全然大分の事を知らなかったり、「どこがオススメ?」って言われても、単純に『別府』『湯布院』しか知らなかったんですよね。

——JTBでの経験を『ツーリズムおおいた』へ

海外にお客様をお連れした経験があるので、外にお客様を連れて行く時に「何を目的に行くのか?」というのが分かるんですね。
「どういう所にお客様が興味をもつのかな?」という所を逆に持ち込めるのかなと。
例えば、東京のお客様が大分に来たら、どうゆう所が良いかお勧めすると喜ばれるのか?興味を持たれるんじゃないか?というのは「海外旅行の経験があるからこそかな?」というのを今、感じてますね。

若い頃に、視察旅行で
『福祉の先進地である北欧』
『環境に取り組んでいるドイツ』
大分のグリーンツーリズムのような
『農村民泊的なアグリツーリズムの最先端、イタリア』
だったり、そういうテーマを持ってお客様をご案内するという事をやっていたので、逆に大分もテーマを絞れば、ただ「観光に来てください」って言うだけでなくて、
お客様に来てもらえるツールがいくらでもあるのかなと思います。そういうお客様へのアドバイスは経験がないとできないので、そこは僕の強みと思っています。
『ツーリズムおおいた』は県の事業の委託を受けるので、それを作りあげる上で、県の方々と連携を取って、私の経験を活かして、伝えられる事は伝えていくというところですね。

ちなみに大分で一番といったら、何が人気なんですか?大分って色んなものあるじゃないですか?

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やっぱり『温泉』っていうのは、認知度が高いですよね。
『おんせん県』って事なので、温泉を推していくっていうのがあるんですけど、僕は一歩引いた目で見てて、次のモノを出していかないと「それで?温泉はわかった。知ってるよ。」となってしまうので、
そう考えた時に僕は、『食』が非常に重要かなと思うのと、僕は大分って『医療』かな?と最近気が付いて。

新しいですね。そのイメージは。『大分=医療』ですか?

何故『医療』なのかというと、僕自身まったく知らなかったんですけど、僕はこじつけというか、事実を繋ぎ合わせイメージを作り上げていくことが好きなので、聞き流してください。(笑)

そもそも、日本で最初の西洋式病院が出来、初めて西洋外科手術が行われたのは大分なんですよね。今あるアルメイダ病院ですよね。
それと、今年ちょうど『解体新書』が刊行されて240年なんですけど、その『解体新書』の翻訳の中心だったのが中津藩医だった『前野良沢』なんですよね。それと、中国の政治家・革命家の『孫文』の胃の病気を治したのが、大分出身の『高野太吉』っていう医者なんです。
つまり大分って医療的なものに、すごい昔から長けてるんじゃないかなって。

今、ちょうど宮崎と一緒に『東九州メディカルバレー構想』という事で、そういう医療技術での取り組みもしているし、
『医療(生きる)』ということにスポットを当てていって、今後どんどん極めていくと「じゃあ、温泉ってココロとカラダにいいよね。」と、『湯治』なんかがイメージできますよね。

周りにあるものを繋げていくと、大分は違う良さも出せるんじゃないかな。と考えています。
『温泉』をただ出すだけじゃなくて、使うだけの『温泉』でもいいんですけど、いろんな存在するものを繋げて、昔の物を掘り起こして、それを繋げていったりしても面白いのかな?という風に思いますね。

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「食」も結局人って食べないと死んじゃうので、その「食」という物の素材の良さだったり、そういう物をもっと掘り下げてくと、ただ美味しいだけじゃなくて、「関アジ、関サバ」とかのブランドっていうのも良いんですけど、突き詰めていった所から掘り下げていく。という必要があると思います。
大分は、採れた物を美味しく頂くという『グリーンツーリズム』の先進地でもありますしね。

「他県の人にもっと大分に来てもらおう」という、大土井さんの「hassh.in」のキッカケって何だったんですか?

キッカケはJTBの方針の変化なんですよね。「お客様を旅行にお連れします」という昔の旅行産業から、『交流文化産業』(DMC【Distination Management Company】)に変わりましょう、となったんです。
つまり、人をただ旅行で連れて行くだけでなくて、例えば『JTB大分支店』で「大分支店が地元の為に貢献するにはどうしたらいいのか?」というのをまず考えます。
地元貢献で地域の為を思うんだったら、大分の良さを発信して、そして人に来てもらえる仕組みを作らないと貢献にならないでしょう。

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これだけ人口が減ってくると、やっぱり地域にとってのプラスになるのは、交流人口が増える事、外からのお客様が来ることによって地域に貢献できるんじゃないか?という事で、JTBの会社自体がそういう方針で今、動いているんですね。
そういう時に、もちろんJTBの人間として動くのもいいんですけど、その実際に民間と行政が一緒になった『ツーリズムおおいた』のようなところに人を派遣して、民間会社のノウハウをうまくいかして、連携すれば更にJTBのステータスが上がるんじゃないか?という事で、人の派遣というところなんです。
それが大分県としても「是非お願いします。」という、相思相愛的な関係になっていったんですよね。
それがまさか私になるとは思ってなかったんですけど。(笑)

それで出向されてきて、JTBのミッションと、大分県として今後どうしていくのかという部分で、『ツーリズム』を両方で推進していかなきゃいけない。というのがキッカケです。

どちらの重大任務も背負ってますから、大変ですよね?

そうですね。あんまり大きな声では言えないですが、ここに来て白髪が増えてきました。(笑)

JTBからも「こういう仕事をして欲しい」というのがありますし、県からもありますので。
民間だと当たり前な事も県では勝手が違ったりするんですよ。でもそれは違うからといって文句を言ってもしょうがないので、いかに理解してもらうようにするかとか、目的の為にはある程度のところで我慢をして、次に切り替えようという感覚です。
そこは逆に、申し訳ないですけどいい勉強をさせてもらってますね。

それと、僕自身大分出身ですし、大分が好きなので、そういう意味で「多くの人に大分の良さを知ってもらいたい」という思いもありますし、多くの人に来てもらってそれで大分の人たちが喜ぶっていい事だなと思うので、そうなればと日々思っていますね。

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今まで観光ってどっちかというと、観光業界の人たちだけのモノっていう意識があったと思うんですよね。大分の人たちにとっても「どうせ湯布院や別府の人達が儲かるんでしょ?」みたいな。
ツーリズムってそうじゃなくて、それ以外にも色んな魅力があるんですよ。
今の旅行者って多種多様で好みも色々あって、そういう知らなかった情報を出してあげるっていう事が非常に重要だと思うんですよ。
そういう意味では、今の『ツーリズム』というのは、1次産業から3次産業まで皆さんが連携をとりながらやっていかないといけないのかな?と思いますね。

今、取り組まれてて、楽しい事を教えてください!

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繋がることですかね?今まで知らなかった方々と繋がる。知り合える。
今の事務所も20人弱スタッフがいるんですけど、僕が3年前来た時って11名ぐらいだったので、かなり増えてるんですよね。
市町村から派遣で来ている人達もいるので、そういう今まで繋がりのなかった人達と一緒に大分に来てもらう仕事を出来る事が凄い楽しいです。
みんなも恐らく楽しんで仕事してくれてると思います。

ここはどちらかというと、大分県の観光の宣伝の営業みたいなものなので、
色んな所にイベントで出かけて行って、パンフレット配ったりという事をするんですけど、そこで皆と一緒にまとまって何かを出来るという楽しさがあります。
あとは、「どういう方向でやろうか?}とか、方向性を決めるのは県なんですね。その県の人達と僕らが色々とやりとりができるので、両方と関わられるじゃないですか?
そこの楽しさですね。

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あともう一つが、県が民間の人達と一緒に「おんせん県を売り出しましょう!」という動きになってるのも、パイプ役になれたのかな?という気がします。
実際にJTBや、民間の観光関連の方々がメンバーのある組織があるんですけど、そこでも連携をとりながら一緒にやれてるので、『ツーリズムおおいた』だけで楽しいのではなくて、県の人達とも仕事ができて楽しいし、民間の人達の組織もJTBを通じて仕事できるので楽しいし、それと18市町村の観光協会や観光課があったり、武藤さんもそうなんですけど、そういう市町村の方々とも繋がれる楽しさというか、仲間が増えていってるのが楽しいですね。
向こうはそう思ってないかもしれないですけど(笑)
僕としては一回会ったら仲間というか、「一緒に頑張れる人と巡り会えた」と考える人なので。

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後、これは申し訳ないんですけど、僕自身出向の立場だから、いずれは戻るんですよね。永遠にここで仕事をするとなると、恐らくそんなに楽しもうという気は生まれないと思うんです。
出向の立場って誰でも出れるわけじゃなく、せっかく出向させてもらってるので、その期間中は出来る限り楽しむというか、経験できない事(普段繋がれない人と繋がれる)を経験しようという風に常に考えてるので、だからそういう風に楽しめるのかと思いますね。

なるほど。違う現場に入れてるからこそ、感じれる部分ですね。

正直「出向」ってショックだったんですよね。
年齢が上に行った人とか、あまり使えない人が出向するとかっていう「出向させられた」というイメージだったんですけど、さっきお話した、会社の方針として地域に貢献するという中で、「中堅クラスの人材が望ましい」という事だったんですよ。一方、県の方も同じ事を考えていて、お互いの思いが通じたんですよね。
だからJTB九州の会社の中でも、悪い意味の出向じゃない事をアピールしてくれているので、そういう意味でもやりがいが出てきますよね。
JTBに戻った時に、上手く活用できるようにしておきたいですね。

出向期間は決まっているんですか?

基本的に決まってはいないですが目安は3年位なので、今年の3月までがその目安なんです。ただ、4年目というのは可能性としてはあるので、まだ残ってもいいかな?という気はします。
ちょうど来年にJRさんが全国で「ディスティネーションキャンペーン」というのを毎年4箇所するんですよね、春夏秋冬と。冬は毎年京都って決まっていて、大分が7月〜9月に実施するんです。
それで今、県の中で事務局を作って「全国からお客様を呼びましょう!」となっているので、その仕事はさっきの「1次産業〜3次産業の皆で連携をとって。」という話をしましたが、いろんな業界の人が一緒になって、お客様に来て頂き、おもてなしをしないといけないと思うし、それと情報発信もできるので、もう1年居てもいいのかな。という気はします。あんまり長くなると戻れなくなっちゃいますからね。(笑)
今は出向させてもらってよかったと感じていますね。

目標や夢はありますか?

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僕個人の夢を一言で言うと、カッコつけて申し訳ないですけど、『永遠の旅人』でいたいなと。
常にこう、旅をすると新しい発見ってあるじゃないですか?
そんな大袈裟に長い海外旅行するとかじゃなくて、ちょっとしたショートトリップでも旅だと思うんですよ。そういうのをし続けるというか、感性を磨き続けたいので、それが仕事にもいきてくるのかな?と思いますね。

では、最後に武藤さんから、質問を頂いてますので、ご回答をお願いします!

—Q.武藤さん:「靴の手入れの時間は?」

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A.大土井さん:靴の手入れってほとんどしてないですよ?

武藤さんのインタビューをした際に、「歳を重ねていく時に、大土井さんの様になりたい。」という、話を長い時間お話されてまして、その流れで「靴の手入れの時間聞いてもらってもいいですか?」と。

A.手入れは、朝出る時に軽く拭く程度なんですけど、1週間に週末1回だけ念入りに・・。ですかね。
最近は営業とかじゃなく、靴のカカトの減りも少ないので、助かってるんですけど、
靴は4足くらいをローテーションして履いてます。
靴の手入れの時間自体は、4足あるので週末に全部やって、1時間位ですかね?
後は底が磨り減ってきたら、靴屋さんで替えてっていう感じで・・。というか、すごい質問ですね(笑)
飲んでる時とかに聞けばいいのに〜(笑)

『JTB』と『ツーリズムおおいた』のミッションを支え、大分のアンサング・ヒーローとして、
観光という目線から大分県にもっと人が来てもらえるように、もっと楽しくなるように。日々奮闘している、ダジャレが大好きな大土井さんでした!

次のhassh.inは誰でしょう?

次回の「hassh.in」は、様々な方向から大分の未来を考え意見しあう仲で、『大分×イタリア』の話でよく盛り上がるという、井尾さんです!

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公益社団法人 ツーリズムおおいた

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大分県別府市山の手町12-1 ビーコンプラザ内
Tel 0977-26-6250
Mail tourism@we-love-oita.or.jp
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