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#14 Let's INSPIRE!!


プロフィール

氏名 伊藤 清隆(Kiyotaka Itoh)
職業 株式会社BAS(Terminal.&green.) 代表取締役兼ヘアデザイナー
1974年生まれ。大分県出身。
大分工業高校機械科卒業後、美容師の道を進む事を決め専門学校へ。
大分の有名店『BOOM』で経験を積み、『Terminal.』オーナーへ。
現在では、大分市内で美容室を3店舗経営している。

伊藤さんはじめまして!本日は宜しくお願いします。
早速ですが、伊藤さんの「hassh.in」を教えていただけますか?

僕、トキメクものが好きなんですね。自分がワクワクする物を発信して、それを受信した方もトキメければ、それはもう最高ですよね。

トキメキを生む形が伊藤さんの中では、髪を切るという事なんですね。美容師さんはいつからされているんですか?

工業高校を卒業して、美容学校に行って、美容学校へ行きながらアルバイトをしていました。
学校が16時に終わって、すぐサロンに直行でしたね。今年で40歳ですから、学校を卒業してから今年はちょうど20周年になります。誰も祝ってくれないんですよねー。笑

伊藤さんのご年齢にまずビックリしました。その道一筋なんですね!
通常は美容学校を卒業した後に、アシスタントから修行するのかと思っていたのですが?
そういう方が多いのですか?

僕が学校に行っていた頃はいなかったですね。当時、美容室の先生の家に住んで一緒に暮らして、そしてその先生のところで働くという。今では考えられないシステムですけどね。
今思えば、何故か早く先に行きたくて急いでいましたね。今も何かしら急いでます。

工業高校で機械の勉強をされていて、どんなキッカケで美容師になろうと思ったんですか?

高校時代に付き合っていた彼女が、「美容師になりたい。」ってずっと言っていたんですよね。僕は「そうなんだ〜。」程度で、自分が美容師になるなんて、頭をよぎりもしなかったのですが、進路を決める際に、なかなか自分のやりたい仕事が見つからなくて。
そんな時に、リクルートの資料で『YES・NOでわかる。あなたの適した職業』というのをやっていったら職業の中に『美容師』があったんですよ。
彼女が言っていたのも思い出し、初めてそこで『美容師』を職業として意識しだしたんです。どんな事が出来るか自分の中で想像したんです。
元々、『アート・芸術』に相当興味があったので、例えば自分で作ったヘアスタイルの写真を撮ったり、自分で書いた絵を飾ったり、店内の内装を考えたり、お店のCMを作ったりと、トキメキがだんだん出てきて、「ちょっとやってみようかなっ?!」と、そういうノリで決めたのがキッカケですね。

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アシスタント時代は、大分の『BOOM』でお世話になっていました。
尊敬していた師匠が『ラムール』といって、当時大分で一番大きい店舗で店長をしていて、『BOOM』を出すというタイミングの時に、「付いて行きたいです!」と、お願いして修行させてもらいましたね。

伊藤さんをここまで成長させた、師匠さんも凄いですよね!

そうなんですよ。僕の師匠は本当にすごい人ですよ。明日会いますけど、寿司をごちそうしに行って来ます。

そういう「師匠にご飯をご馳走する。」という関係いいですねぇ。
伊藤さんの、一つの事を続ける秘訣ってあるんですか?

秘訣は何もないですよ。ただ飽きないだけです。しつこいのかな?(笑)
だから好きになったら嫌いにならないですよ。あまり好きにならないかわりに、嫌いにもならないです。女子も。(笑)
以前付き合った人を嫌いって言う人いるでしょ?僕、よくわかんないんですよ。
別に嫌いじゃないです。今でもまあまあ好きです。(笑)

今の「hassh.in」で楽しい事を教えてもらっても宜しいですか?

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うーん。やっぱり撮影でしょうね。モデルさんを撮っている時ですね!僕が撮るのは商品ばっかりですけどね。
ヘアデザインは『商品』と『作品』と二つあるんですよ。『商品』はお金を頂く物ですから、簡単に言うと、街を歩ける髪型なんですよ。
『作品』となるとそれをちょっと昇華させた・・。
ファッションで言うとコレクションみたいなモノなんです。それをカジュアルダウンさせたのが『商品』なんですよ。
『作品』っていうのは、より感性を研ぎ澄ませて作りこんでいく物なんです。
僕はどっちかというと、その『商品』の方をやっています。

この『商品』と『作品』というのは初めて知りました。例えがすごくわかりやすいです。
伊藤さんの『商品』のこだわりは?

僕らは『ハイファッション』を狙っているのですが、『ファッション』という言葉には、ピラミッドがあるんですよ。
一番上が『モード』。次に『ファッション』があり、その下に『スタイル』があるんです。この『スタイル』というのは日常なんですよ。『ファッション』に関心のない人は、「暑いか?寒いか?」「動きやすいか?動きにくいか?」の様な話なんですけど、『ファッション』を楽しんでいる人達っていうのは、真ん中の位置になるんですが、その中でも『モード』に近い『ハイファッション』という、この辺を”Terminal.”は狙っているんです。

自分でも髪型とか気を使ってるので、知った気になっていましたが、美容師さんって奥が深いですね。切るところで人の髪型ってやり直しきかないじゃないですか?戸惑ったりしないんですか?

いやぁ〜、戸惑いますよ。心の中では。手は戸惑わないですが。
戸惑いはお客様にも伝わってしまいますからね。
僕もカット中は緊張したりしますよ!実は心拍数は多分、誰よりも高い。脈をとったらわかると思いますが。(笑)

『ハイファッション』を狙っていく中で、一人のデザイナーとしての目標を聞かせてもらえますか?

デザイナーとしては、話が少し多角的な話になるんですが、
この箱(店舗)を今みんなで共有しているわけですよ。ここはヘアデザイン工場なんですけど、不特定多数のお客様が来店します。そして、僕と社員の年齢差が開いてきます。
それぞれメインターゲットとしているお客様がいらっしゃいます。
自分の年齢プラスマイナス5歳ぐらいがメインターゲットになるんですが、自分の年齢が上がってくると共に、メインターゲットの年齢も上がってくるものです。
そうなると、この箱は僕(40代)と社員の年齢(20代)からメインターゲットになるお客様を見てみると15歳〜45歳のお客様が混在してる訳ですよね。

45年間生きてきた人達の『カッコイイ物』『可愛い物』と、まだ20年間しか生きていない人『カッコイイ物』『可愛い物』というのはズレがでてきますよね?
当然プロモーションの仕方も、かける音楽も、置く雑誌も違ってきます。
こういう理由があり、一つの空間で「同じような物」を「同じような感度」で提供していく事って非常に難しいんです。
いずれ自分がデザイナーとして夢見ているのは、年齢をある程度絞って、やっぱり自分の感度と合う人たちだけが集まるような空間を作りたいんですよね。

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今はやはり、広告媒体を使って、比較的若い人達でも、来やすい敷居を下げるイメージ。
かかっているBGMも誰でも知っている様な曲をかけたりとか、どうしてもしないといけないんですよ。
でも自分は「もっとカッコイイ物を。もっとコアな物を。もっと深い物を。」本当は追求していきたいんです。『デザイナー』としてはですね。でも経営者としてはそれではやっていけないというジレンマがあるんです。

なるほど。伊藤さんが将来やりたい事は、どうやって実現させようとお考えですか?

僕の会社は「BAS」という会社なんですが、会社の中で他の社員がどんどん上に上がれる環境を作らないといけない思っています。僕がこの『Terminal.』を卒業できない事には、そういったコアな美容室が作れないですから。自分がいなくてもこの会社が成り立つ様に作っていかなければいけない。それが非常に難しいですね。

これ本当にリアルな話。発信っていう部分で、ただひとつHAPPYな物だけという風には、美容室の場合どうしてもいかないんです。
発信の仕方がそれぞれ、だんだん変わって、みんな徐々に芽生えてきます。そうなると、みんなは当然『自分のお店を持つ』という事で卒業していっちゃうので、どうしても自分が『Terminal.』にいなきゃいけない状況なんです。
この子達がずっといると、僕がいなくても良くなってくるのですが、それは『美容師』という職業の性質上難しいですから、そうなると別の形で会社としての収益方法を考えないといけないですね。

うちはそういう意味でも、今年新しい取り組みしているんです。郊外に低料金サロンをスタートさせているんですよ。
そちらは『Terminal.』と全く違う、お店なんです。まさに先ほどの『ファッションのピラミッド』でいうと、『スタイル』の人達を対象としています。『ローファッション』&『スタイル』というところですね。
人口比率から考えると、この『スタイル』っていう所が多い訳ですから、このお客様達に対してもアプローチしていこうと考えました。

徐々に伊藤さんの夢に近づいている状態なんですね。

近づいているのか、本当に「七転び八起き」のような・・。
「三歩進んで二歩下がる」といいますが、三歩進んで、次も三歩進みたいですね。下がりたくないです。(笑) 
デザイナーとしては本当に、自分でもトキメク空間で「この曲いいねぇ〜」とか、「このコーヒー美味しいわ~」みたいな、本当にトキメク物に囲まれた中で、ソコでトキメク物をつくりたいんですよ。
そして、お客様にもウッキウキな気分で帰っていってほしい訳なんですよ。それがデザイナーとしての夢ですね。爺ちゃんになったらやろうと思っています。

本当は若い時にやりたいので、早く会社をしっかりとした『絶対沈まない船』にしてしまって、お客様に「そういえば、船長何してんの?」みたいな事聞かれて、「あっちで遊んでる。」みたいな。そういうのをやりたいですね。(笑)

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先ほどのお話のピラミッドも、20代、40代、60代と『モード・ハイファッション・ファッション・スタイル』のピラミッドは別ですし、雑誌の数だけ美容師もいますし、ファッションもあります。その中で僕達ヘアデザインメーカーはひとつの箱の中で、共に生産していく。そこが難しいんですよね。
僕が美容業界に訪れて欲しい環境は、バンドみたいにお客様(ファン)と一緒に歳を取っていく事がベストですよね。

最後に、伊藤さんの原動力を教えてください。

もうトキメキたいだけですよ。
2004年2月に今のこの場所に移転してきたのですが、「この箱の中に6つのトキメキを詰め込もう!」と思っていました。
普通、美容室って入口を開けたら、白くて、明るくて、スタッフみんなで「いらっしゃいませ。」ってお迎えする。って思ってみんなあのドアを開けたら、真っ暗の廊下でスタッフの姿が見えない、「なにここ?」みたいな。コウモリが飛んできそうな(笑)
そんなトキメキがほしいんですよ。それだけです。その方が面白いじゃないですか。

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そのトキメキを生むのが大変じゃないですか?

そうですね。人は簡単にトキメかないんですよ。人をトキメかせるって相当難しいですよ。
トキメキを生み出すには、やっぱり変な話ですけど、人を楽しませる・人を笑わせる為には、歯を食いしばらないといけないんですよ。
努力が必要なんですよ。勉強して、努力して、そうしないと人をトキメかせられないんですよ。大事だと思います。

すごく勉強になります。伊藤さん、実は前回のインタビューさせて頂いた後藤さんから、質問がありますので、お答えください!

—Q.後藤さん:「今年のピストバイクの目標は?」

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—A.伊藤さん:「フロントのスプロケットを、もう何枚か大きくする。何枚かなぁ?2,3枚かな?」

これは結構な目標ですよ。結構大変な事です。
コイツが大きくなると、スピードが出るんですけど、ギアが重くなるからキツくなります。
それで、ピストバイクって固定ギアなので、坂道だからギアを軽くするとか出来ないので、脚力を付けないとスプロケットを大きくするっていうのは、やっぱ・・死ぬんですよ。(笑)

地元大分でトキメキを発信し続ける美容室の人気店『Terminal.』の伊藤さんでした!

次のhassh.inは誰でしょう?

次回の「hassh.in」は、伊藤さんが6つのトキメキを詰め込んだ今の『Terminal.』を作る際に、すごくお世話になったという、有限会社トスカンパニー代表の西村さんです!

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Terminal.(ターミナル)

住所 〒870-0021
大分県大分市府内町3丁目7−26Bガレージ3F
(ユナイテッドアローズ3F)
Tel 097-514-5963
Web Terminal. Facebookページ

green.(グリーン)

住所 〒870-0021
大分県大分市府内町1丁目1−11アテネビル2F
Tel 097-534-5964
Web Terminal.&green.