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#26 お客様と一緒に土地から探す建築家


プロフィール

氏名 高橋 洋一(Yohichi Takahashi)
職業 株式会社 髙橋洋一建築設計事務所 代表取締役/建築家
経歴 大分県別府市生まれ。高校生時代、建築家を志し広島の建築系の大学へ通う。
大学卒業後、広島の設計事務所に務める。後にその設計事務所の同期の方が立ち上げた有限会社キャプデザインに入社。
有限会社キャプデザインの取締役就任した後、株式会社 CAPDに改組。
2012年に大分へ帰ってきて株式会社 髙橋洋一建築設計事務所を立ちあげる。

高橋さんはじめまして!本日はよろしくお願いします。
早速ですが、高橋さんの『hassh.in』について教えていただけますか?

僕的には昔からあまりブレてない考えがありますね。僕の仕事は建築家なので店舗や住宅の設計をさせていただいてます。設計をするうえで、見ていただいたお客様に何か1つ「こんなこともできるんだ!!」っていう新しい発見をしてもらえたらと考えています。それでここ『BAKESHOP BY the BAY』が説明しやすいなと思って。ここは初め、ご自宅を設計させていただいた方のお店なんです。テナントから一緒に探しました。特色を持っている方達のお店が集まった空間ということだったので、倉庫をテナントとして使うことになったんです。倉庫全体をお店として扱うと空調関係でお金がかかったり、倉庫そのものの良さが無くなるので、倉庫の中に町を作るように一つ一つのお店を家のようにして区切りました。たまたま入り口が二つあったので各お店の間は通り抜けできる路地のようにしています。このお店はそういった自分の考えをあらわす1つの例ですね。

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先ほどお店に入る前も「あれ?倉庫の中に家がある!!」という驚きと発見がありました。
テナントから一緒に探されたそうですが、これは高橋さんのスタイルなのでしょうか?

僕は不動産屋ではないんですが家なら土地探しから、店舗ならテナントから一緒に探しています。「この土地がいいです」ってお客様に言っていただくと「この土地は向いてないと思いますよ」って言いにくいじゃないですか。一緒にはじめから探していたらその時点で向かない土地をカットできるんです。お客様がそこに建物が建ったらどうなるかが分からない時それをアドバイスできる立場にあるので、金額や建った時のイメージを先にお伝えしながら一緒に良い土地を絞っていきたいと考えています。

お客様の意見に寄り添いながら家や店舗の設計されているんですね。
このスタイルは高橋さんの中でどのように確立されていったのでしょうか?

格好の良くないものや、見てて惜しいなと思った建物に対して「これ、僕だったらこうするのにな」ってのをずっと考えてきました。昔は、良いものを見ても「良い」としか思ってなかったんです。良いものをどう評価したらよいか分からなくて、「自分ならこうする」ってのをずっと考えてきたのでこうなったんでしょうね。「こうしたかったのに、こうできなかったんだろうな」っていうのを勝手に考えていました。だから最初は受け身ではあるんですがキーワードをもらえたら、それにしっかり答えるのがスタイルになったんだと思います。
奇をてらうようにはしないようにしています。今みなさん結構デザインできるじゃないですか。写真見て「こんな感じにしよう」ってなったら、全然出来るんですよ。そこで表向きのデザインではなくてもっと根本的なところのデザインを僕が動かしたいんですね。そこはお客様ではなく僕がこだわってやってる部分です。お客様から外壁別にタイル貼りたいって要望を頂いても、しっかり対応できるように背景を作っていきたいですね。


【グッドデザイン賞2011】鉄筋コンクリートの平屋住宅(佐賀関)

「大分市佐賀関にある豊後水道を見渡せる敷地。目の前には、砂浜が広がり夏は海水浴で賑わい、海を一番見渡せる場所に位置する。眼下に海が広がり砂浜の音、潮の香り、海を365日いつでも感じる事ができる敷地である。海と向き合うという本質を見据えた上で、海を最大限感じられるような家づくりを計画するにあたり、全面に広がる堤防が視線の妨げになったが、床のレベルを堤防の高さまで上げた事で視線から堤防を消し、海を最大限感じられるようにした。その結果海側の外観がせり上がり、必然的な外観は個性的なフォルムを生み出した。あらゆる条件を前提に海と向き合う家を造り出そうとした時、プライベートな空間は海に対して閉じ、パブリックな空間を海に解放した。入り口である玄関を南側に配置し、中庭、リビングと徐々に海に近づいていく空間の構成、これにより常に海を見ながらリビングに辿りつく導線を確保し、生活する上で多くの時間を過ごすリビングが一番近くで海を感じられる空間として成立した。海と向き合うという本質を見据えた上で、必要な物以外はすべて削ぎ落とした空間。この空間を構成する素材は打放しコンクリートなど装飾を外して構成している。生活や感性の変化に応じて造り変えていける。変わらない本質と、変化する生活の自由さを余地として残した家である。」

建築家を志したキッカケとはでしょうか?

それがキッカケはドラマなんです(笑)
田村正和と木村拓哉の「協奏曲」っていうドラマで設計が題材になっていたんです。単純に“かっこいい”と思ったんですね。七回ぐらい見ましたよ。大学に入ってもビデオを借りて観ることでモチベーションをあげていました。この作品に出てきた建物が実際にあるんで、雑誌を見ながら「この建物多分ドラマのだよな」とか思いながら調べて東京を回りましたね(笑)
あと、すごく仲の良い友達のお父さんが設計事務所をやっていたんです。高校の時に麻雀しながら、「建築行こうと思うんですよね」って話をしたら「色んなモノが詰まってて、お金をいただきながら趣味を持たなくて良いぐらい色んなことができる」ってことを聞いて建築系の大学行こうと思い立ちました。ミーハーではあるんですが、結果が見えることが好きだったのでものづくりには必ず進もうと思っていましたね。

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ドラマがキッカケだったんですね!!
大学は広島の建築系大学だそうですが、それから大分に帰ってきて自分の事務所を立ち上げたのには何か想いがあるのでしょうか?

やはり自分の育った場所っていうのが大きいですね。あとは田舎としてのロケーションの良さも魅力の1つでした。広島は、どうしてもこっちより狭いんで。九州の方がロケーション的には良いんです。まだこっちの方が作られてない土地が多くて土地も安い、そうなれば価格の中で探せる人が多い。それでですね。

高橋さんを動かす『hassh.in』の原動力とはなんですか?

苦しい仕事ですが、それを乗り越えた時の楽しさが原動力の1つですね。もう1つ、仕事を頂いた時の電話もすごく嬉しいです。仕事の電話や知り合いからの「ちょっと紹介したいんよ」って電話は通話後に「よっしゃああ!!」ってなります。仕事をもらうばっかりがいいのにってなりますね(笑)その後もちろん仕事はしなくてはいけないんですけどね。10件入ったら10件こなさなきゃいけない。そのこなす大変さは分かっていても仕事をもらった時の気持ちは最高ですね。とりあえず誰かに報告したくなるんです。奥さんに電話かけたりしてます(笑)

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『hassh.in』することで楽しいことってなんですか?

僕は設計するとき「こうしたら、こうなるんじゃないか」ってことを常にイメージしています。結果として形になった時それがイメージ通りなら良いですし、イメージ以下のものになれば反省ができます。「あ、これがダメだったんだ、じゃあ次はこうしよう」って考える。それがすごく楽しいです。

反省点ををしっかり糧として活かしていく姿勢が素敵です!!
高橋さんの、こらからの夢や目標ってあったりしますか?

これからの夢としては自社ビルが欲しいですね。単純なんですが…自社ビルってかっこよくないですか?作るのも買うのもいいんですが、どうせなら自分の名前がついている会社としての自社ビルが欲しいです。せっかく個人でやってるんだから、ビルの中に会社を入れてテナントさんにも入ってもらいたいです。それが叶ったら1・2階にBARを入れて「なんかあのおじさんいつもいるけど誰?」ってお客さんが言ったらマスターが「ここのオーナーだよ」みたいな。そういうこと言われたいです(笑)

高橋さんに、実は前回取材させて頂いた仲道さんから質問を預かっていますので、お答えください!

—Q.中野さん:「奥様とのラブラブな秘訣を教えて下さい!!」

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—A.高橋さん:「色んな所に一緒に行ったり、ご飯を一緒に食べることですかね。車の運転が好きなので奥さんと愛犬と旅館に行ったりしてます。自営業みたいなものなので、毎日仕事が休みなわけではないのですが打ち合わせがなければ一応休み扱いになるんです。確かにはたから見るとずっと一緒にいるように見えると思います。」

お客様の要望を徹底的に越えて、新しい空間を作り出す髙橋さんでした!!
ありがとうございました!!

次のhassh.inは誰でしょう?

 
次回の『hassh.in』は髙橋さんが外構工事を依頼できる方を探した際に知り合った、ガーデンデザイナーの川野ルミさんです。

株式会社 髙橋洋一建築設計事務所

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