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#18 ケンチクもまちも“リノベーション”でもっとおもしろく!!


プロフィール

氏名 光浦 高史(Takafumi MITSUURA)
職業 建築家(1級建築士)
DABURA.m ~建築学的・生物学的都市生成のための設計研究組織 ミツウラスタジオ~ 代表
経歴 1977年 神奈川県川崎市に生まれる
2000年 早稲田大学理工学部建築学科を卒業
2000年 青木茂建築工房に所属。その間「佐伯市蒲江 海の資料館」をはじめとする再生建築、個人住宅、宿泊施設、公共施設、地域再生デザインなどを担当。青木茂氏の著作や学術研究にも携わる。
2007年 光浦高史建築設計事務所を設立
2009年 池浦順一郎とDABURAを設立、共同主宰
2013年 日本文理大学工学部建築学科非常勤講師
2014年 DABURA.mとして改組 代表となる
賞歴 2010年 第25回 豊の国木造建築賞 優秀賞
ART PLAZA U-40建築家展 来場者投票第1位
2011年 九州建築家バトル 優勝

光浦さんはじめまして!本日はよろしくお願いします。
早速ですが、光浦さんの『hassh.in』を教えていただけますか?

今取り組んでいることは、新たな建築の設計とリノベーションですね。基本的には建築の設計事務所を経営しているのですが、新しい建築の設計に加えて、建物を再生するということで、街と関わる活動が増えてきていますね。
建築業界においては現在、建築や空間を創る仕事には一つの大きな転換点が来ているんですね。なぜかというと、この国は昔からずっと経済が発展し続けていたのですが、現在の日本は人口が減り続け経済全てが小さくなる時代に突入し始めているからです。
そうすると今までは新しいものを創るということに価値があったのですが、最近では新しいものが出来つくしてしまいました。新しいものを創る必要がなくなってきているんですね。

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普通に考えると産業が縮小して仕事が減っていくことになってしまうのですが、僕はそうではなくて、これからこそが熱い時代だと考えています。
これからは既にもう出来つくしているものを、いかに楽しく使いこなしていくかという時代が来るでしょう。特に今の若手世代には、新しい文化を造っていく可能性があると思います。とてもおもしろい時代に空間ものづくりをやっているなと感じていますね。

今後の日本は経済が縮小して人口も減り、超高齢化する。これまでは街や都市を一から作ってきたのが、これからの人は苦労しないで色んなものが手に入る。もう既にあるそれらをどうやって使うのか?というところに面白さがあるんです。それがまさにリノベーションですね。

老朽化して建替えるとか様々な条件がありますから、今の仕事の半分は新しく創る仕事です。お家やクリニックや事務所を作ったりと、新しく作る仕事。そしてもう半分がリノベーションです。

今の『hassh.in』はどんな思いからスタートしたのですか?

高校生の時に建築の志望を決めたのですが、もともと建築のデザインだけがやりたくてこの世界を目指したわけではないんです。はじめは宇宙に興味があったんです。
ちょうど高校生の時、あと60年で石油がなくなるという本を読んだんですね。石油がなくなれば世の中が変わると考えて、世の中と関わる地球のことやったほうが面白いなと思ったんですよ。あとは洋服や物を作るのが好きだったので建築の方にいこうかなと。
世の中と関わる手段として空間ものづくりの技を身につけたいと思っていたところがあって、この世界に入ったんです。今まで建築家は奇抜なデザインをすることのほうが素晴らしいというような風潮があって、そのせいで建築家は奇抜なことしかしない人達という様になってしまっていますが、それをちょっと変えたいなと思っています。もっとやれることが色々あると思うんですよ。ひとが生きてゆく空間や時間をデザインしていく仕事なので。

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デザインなどの技術は大学で培われたのですか?

学生時代の直接の恩師に、この前退官された石山修武先生というとても厳しい先生がいて、いろいろな面で鍛えられました。その時によく教えられたのが
『デザインというのは姿かたちを見出すということだけを考えたらダメだ』
『その人がどれだけちゃんと歴史を把握しているかということと、物事をどのように認識しているかということがデザインとして結実する。そのデザインが生まれる背景の部分から考え、創造してゆかなければならない』ということを教えられたんですね。昔の時代の努力が積み重なりデザインが生まれて、これを乗り越えるために次のデザインが生まれる。そういう歴史を把握していないと現在のデザインはできないんだという考えの先生でした。

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『hassh.in』する中で楽しいことを教えてもらえますか?

大分はものづくりする人にとってテーマがたくさんあり『こんなに美味しいところはないだろう』という場所だと思っているんですよ。ちょっと行けば自然もあるし、美味しい食べ物が採れるところもあるし、街に城下町に、豊かですよね。

東京だとテーマをみんなで掘りつくして突っつきあって、もう一回どうやって同じ穴掘るかみたいな、そういう微妙な差の競い合いをしている感じがあります。大分にいると、様々な業種の方とも知り合う機会が多くて、一緒になってすぐに話ができます。大きい都市だといろんな分野の職業の方と繋がりを作るのはすごく大変です。大分ではいろんな活動をすればするほど、知り合い、友達も増えていくし、新しい刺激がもらえますね。
それに大分県以外からの一流の頑張っている方が大分に来た時にかなり近い関係で話せるし、そういう機会が沢山得られるのはいいなと思っています。

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光浦さんの目標を教えてもらえますか?

二つあります。一つは、街づくりと関わる中で仕事の幅をもう少し広げて、仲間の繋がりを生かして、なにかやりたいという人がチャレンジできる空間を提供出来るような会社を作りたいなと思っています。
今街の中で使われていない空間、遊休不動産(シャッターが閉まって二階、三階が物置になっていたり、路地に入ったところで何も使われていない建物など)をもっと面白く創造的に活用してゆける、そういうことを受け持つ会社を作りたいなと思っています。
二つ目は、大分から東京を経由して他の国と繋がるのではなく、大分から直接世界に繋がるような道筋を作って行きたいと思っています。人口が減っていく中でいろんなものの再生に取り組んでいく経験が出来て、それを様々な国の街で活かしたいし、これまでの新しいものを創る技も活かして、大分から直接世界に繋げて行きたいです。

現在海外で1件手がけているのですが、大分の社長さん達が出資をして、大分県産の食材や文化などを紹介するようなお店を作ろうというプロジェクトが進んでいます。その国の人達や経営者、公共的な役割の人たちの交流の場として使ってもらい、それをきっかけに大分とのつながりや新たなチャンスを創ってほしいという想いが込められています。その方たちに混ぜてもらって今、空間のリノベーションのデザインを担当しているところです。
“豊後スタイル ジャパニーズ キュイジーヌ”
それをどう世界に売り出していくかで、「”豊後スタイル”の聖地はどこだろう?」となって大分に遊びにいこうかなとなったら良いなと。

最後に光浦さんの原動力を教えていただけますか?

一言でいえば初志貫徹ですね。初めに設定した目標をぶらさずに実現していくと決めておかないと、いい事ばかりじゃないから嫌になっちゃうじゃないですか(笑)。初志貫徹をするという想いと、その過程でいろんな方と出会って成長し、変化していけるという楽しさが原動力ですね。

光浦さん、実は前回のインタビューさせて頂いた深田さんから質問を預かっています!

—Q.深田さん:「府内五番街の中で事務所を探しているということですが、選んだ理由は?」

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—A.光浦さん:「五番街って大分県内や商店街の中でも一番活動的で熱いところなので、面白い仲間が得られるなと思ったからです。でもすごく人気のところなので、探すなかで家賃がちょっとまだ自分にはハードルが高いかなと感じてはいるんですけど、でも、もしかすると・・・。(笑)」

新しいものも創りつつも、既にあるものをリノベーションする。これからの街づくりを考えた空間や時間をデザインしている光浦さんでした。

次のhassh.inは誰でしょう?

次回の『hassh.in』は、大分の景観まちづくり活動の持続可能性とその要因分析をしながら、地域の方へサポートや大分の魅力をアツく伝えている大分大学で助教の姫野由香先生です!

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DABURA.m:建築学的、生物学的都市生成のための設計研究組織 ミツウラスタジオ oita office

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