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#28 美味しいお菓子と幸せな空間を生み出す


プロフィール

氏名 田中美智代(Tanaka MICHIYO )
職業 maruju 店主
経歴 豊後高田市の和洋菓子店の長女として生まれ育つ。
小学生から高校生まで家の工場でお菓子を作ってきた。
大学へ進学、銀行への就職。結婚を期に退職した後、出産を境に手作りお菓子の素晴らしさを改めて感じて再びお菓子の世界へ戻る。
現在は別府市で毎月お菓子教室を開きながらお菓子屋さん「maruju」を営む。

田中さんはじめまして!本日はよろしくお願いします。
早速田中さんのhassh.inについてお聞きしてもいいですか?

 私は友達のところに行くために買うケーキではなくて、1個でも買えるような手軽に楽しめるお菓子屋さんを作ることが夢だったんです。小さな子どもでも母の日に100円のお菓子を1個買うとかね。要はコンビニみたいなお菓子屋さんですね。それが形になったのがこのお菓子屋さん「maruju」というお店なんです。同時にお菓子教室もこの場所で開いています

お店に入った時から美味しそうなお菓子と良い香りが出迎えてくれました。
お菓子作りを始めたのはいつ頃だったのでしょうか。

 それは小学生の頃まで遡りますね。実家が豊後高田市に合併された香々地町にある和洋菓子店だったんです。祖母に家事を習いながら、週末は妹と一緒に両親が和洋菓子を作っている工場でお菓子作りをしていました。というのもあの頃は食べたいお菓子が周りに売っていなかったんです。それでテレビで見るようなクッキーとか「どんな味がするんだろう」ってすごい興味が湧いてきたんですね。小・中・高校生までひたすら妹とお菓子を作っていました。作ることが好きで好きでしょうがなかったっていうのもあります。

すごく素敵な環境だったんですね!!
お店を持たれるきっかけになったのは何だったんですか?

 高校生の時から、お菓子屋さんになりたいって夢はあったんです。でも私が4人兄弟の長女っていうのもあって両親が進学させたがったんですね。それでひとまず大学に進学しました。卒業後は実家の手伝いをしたくて帰って来る予定だったんですが、やはり反対されて3年弱銀行員をしました。「一度は外で勉強してこい」ってことで。ただ、どうしても肌に合わない仕事だったので体を壊したりすることも多くて、結婚を期に退職したんです。それから子どもが生まれて間もない時、お友達の家に遊びに行ったら手作りのお菓子を振る舞ってくれて「自分がやりたかったのはこれだ!!」って改めてお菓子に衝撃を受けたんですよ!!大学生から社会人での4〜5年間もの間、お菓子作りに触れていなかったんです。
 
 それでそのお友達の教室に、娘が2ヶ月で首が座るか座らないかぐらいの時におんぶしながらアシスタントとして通いました。5〜6年経った頃、自分でやりたいスタイルが固まってきたのでアシスタントを辞めて自分の教室をスタートさせたんです。赤ちゃんでも連れていけるような誰でも入れる教室を作りたいって思ったんですね。そうして10年間教室を続けたら7〜8割の人が継続して来てくれるようになったんです。その間もお店は始めたかったけど、なかなか決心がつかなかったんですね。でも10年間続けて、自信も出来て「お客さんが気軽に来れるお菓子屋さんにしたい」っていうお店のビジョンもまとまったんです。

ドラマみたいな展開です!!
hassh.inされるうえで嬉しかったことってなんでしょうか?

 やっぱりおばあちゃんとかが、自分で楽しむために買いに来てくれて『あ!これ3時のおやつに買っていくのかな』って思ったり、子どもが「お兄ちゃんの誕生日やけん」って10円や50円をいくつか握りしめてラッピングを頼んでくれた時とかかな。「もうこんなお店他にない!!」って自画自賛したりしてます。基本作ることが楽しいから作れてるだけで幸せだし、同時にお客さんの「ありがとう」が聞けるから本当に嬉しいです。他にもお客さんとの「赤ちゃんが成長したよ」とか「お母さんが出産したよ」とか、たわいない会話をしてるとき「幸せ!!」って思いますね。お店の利益も大事なんですけど、それじゃお客さんと仲良くなれないんです。私がもともと漁師町生まれだったので地元では、バケツに入った魚をもらったり野菜をもらったりしてたんです。それで人と人のつながりを大事にしたかったんですね。私自身は趣味でやってるわけじゃないんですが、ものすごく楽しいです。

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お店とお客さんの距離がすごく近いんですね。訪れるお客さんも楽しくなりそうです!!
お菓子教室も開かれてますが、どのように教えているのでしょうか。

 基本的にレッスンは月に1回行っています。レシピは全部渡しているからお店で出してるお菓子の8割は生徒さんも作れるんじゃないかな?お菓子って絶対一緒のものは作れないと思うんです。上手とかじゃなくて、その人が作るものを別の人が作ることは100%無理なんです。だから渡したレシピはむしろ自分の味にしてほしいと思っています。教室で学んで欲しいのはお菓子作りの基本や、大切な人との思い出ですね。そこを大事にしています。後はお店で買うとどうしても高くなる材料を、みんなで分けたいというのもありますね。だからレシピを見て1回分計量してもらって、家でも楽しんでほしいんです。これは教室の特権だと思いますよ。

田中さんにとってこれからの夢や目標はありますか?

 目標ですか。そうですね、お店をオープンしてからの10年を大事に過ごす事ですね。今年で2年目になります。細く長くが目標ですね。石橋を叩きすぎるぐらいの私を、いつも義妹が支えてくれるんですよ。2人で「maruju」を頑張っていきたいなぁって思っています。
 私は10年ってくくりを大事にしているんです。最初の10年はお菓子・お料理教室を頑張りました。次の挑戦として、このお店を10年続けたくて。その次の10年は、子育てを一緒に頑張ってきた義妹や友達と一緒にお料理で更に新しい展開をしていきたいです。元々は料理が大好きだったんです。多くの人に美味しいお料理を届けてあげたいので、お店を続けるこの10年の間はたくさんの人と交流して自分の視野や活動の幅を広げていきたいです。
 ちなみに両親もお店作りの後押しをしてくれて、屋号もいただいたんです。屋号が「まるじゅう製菓」だから「maruju」にしました。「まる10年」ってことですね。お店も10月10日にオープンしたんです。それまで後を継ごうと頑張ってくれていた弟の誕生日でもあるので。「10」という数字には色んな想いが詰まっています。

これから更に新しく変わっていくのですね!!楽しみです!!
では、最後に川野さんから質問を頂いているのでお答えください。
—Q.川野さん:「なぜ美味しいお菓子を作れるのですか」            

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—A.田中さん:「そうですね。いつも食べてくれる相手の事を考えながら作ってます。基本は懐かしさを感じるシンプルなおやつだからなぁ。」

田中さんのお客様に対する優しい想いがお話やお菓子を通して伝わってきました。
田中さん、ありがとうございました!!

次のhassh.inは誰でしょう?

 
次回の『hassh.in』は田中さんの高校時代の同級生、豊後高田市で酒屋を営む是永宮仁子さんです。

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maruju(マルジュ)

住所 〒874-0849
大分県別府市東荘園7-1(東荘園児童公園横)
Tel 0977-26-1369
Fax 0977-26-1369