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#8 大分の子どものために!


プロフィール

氏名 井尾 文継(Fumitsugu Io)
職業 株式会社スポーツジョイフォーメーション 代表
大分県大分市出身。
地元大分にて学生時代を過ごし、高校卒業と同時に広島大学に進学。
株式会社セブン-イレブン・ジャパンへ入社。その後、大分へ帰省し、株式会社Sport Joy Formationを設立。
現在では数社の取締役としても在籍。
主にACミランサッカースクールの運営に携わっており、大分の子供達を元気にする事にアツく取り組まれている。

寒い中インタビューありがとうございます!早速ですが、井尾さんの『hassh.in』を教えて頂けますか?

今は、大分の子供達の学ぶ場所の選択肢を増やすという事に取り組んでいます。
僕自身、東京や大阪、海外で生活していた事があるんですけど、そこにはいろんな選択肢があったんです。
『音楽』、『芸術』を学べる学校もあれば、変わったスポーツの習い事まである中、自分達で見て感じて、選択する事が出来るわけですよね。
しかし、田舎や地方に居る子達って、なかなかそのキッカケに出逢う事って少ないじゃないですか?
例えば、大学生や社会人なら働きたい会社があればニューヨークに行く事もできるし、学びたければ東京に行く事も出来ます。
一方、幼稚園生とか小学生は、親が大分に住んでいたら、自分達も大分でのみ勉強する事になります。
「ACミランのサッカースクールで習いたい。」と思っても「大分にいるから僕達は出来ない。」という風に思ってもらいたくないんですよね。

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自分も4歳の子供が居るんです。
自分の子供はもちろんだけど、そのお友達や周りの幼稚園生や小学生に、そういう「面白い選択肢」という物を提供して行きたいんです。
その多くの中から選んでもらって、習う事によって感じる何かがあって、子供達が将来的に、「大分に生まれて良かった。」、「大分の為になりたい。」、「東京にもないスクールがあるんで!」みたいな。そう思ってもらえる様にと思い、ACミラン側に都会でスクールを開校する前に「地方でやろう。」と先に話していたんです。
愛知県にはあるんですけど、「次は大分でやった方が絶対面白い!次は東京じゃなくて地方でしょう。」とお願いして、ミラン側も「じゃあ、大分でやろう!」と言ってくれたんですよね。

そこが凄いですよね。あのACミランのスクールを大分に誘致するという。
そもそものキッカケってなんだったんですか?

ACミランを始めとした欧州サッカーリーグのクラブの代理人をされている方と、間接的に繋がって、その人と話していたのがキッカケなんです。

うちの父が、大学時代に明治大学の野球部のキャプテンで、星野監督とかと野球をしていたんですよね。日本代表だったり、六大学野球で首位打者をとったりしていて、僕自身ずっとスポーツには興味があったんです。東京にいた時もスポーツをしていたんですが、「他県にあるようなスポーツ教育の選択肢が、大分にもあると楽しそう。」と、父とよく話してました。
選択肢を増やす事で地元の先生達の刺激にもなるだろうし、「子供達もバリエーション増えると楽しいよね。」と、いう話は家族の中ではずっとあったんです。
そんな中、アーセナル、ユヴェントス、バルセロナなどの日本でのマーケティングをされてる人と出会い、「是非、そういうことをやりたい。」と、その想いを伝えたんです。
すると「ACミランのスクールが良いと思うよ。」という話が出てきたんです。「なんでミランなんですか?」と聞くと、「ACミランのスクールのフィロソフィー(哲学)は、サッカー選手の育成じゃなく、人間育成なんです。」と教えてくれたんです。

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その理由は、全部の子どもがサッカー選手になるわけじゃないですよね?
それはACミラン側もみんな理解していて、トップチームの11枠って、日本人が100年かけても入れないかもしれない枠なんですよね。
そこに入る可能性も、もちろんあるのですが、それよりも重視しないといけない点が、「全員が大人になる。」という事です。
大人なった時に、スポーツしか出来ない、運動やってたから何かが出来ない。という風になってしまうと、スクールで育成した意味が無いじゃないですか?
確率論として、まず全員をいい大人に育てた方が、スポーツやサッカー界においても、社会においても、合理的に貢献できるから、
「子供を育てるサッカーをする」というのが、ACミランサッカースクールの大きな特徴ですね。

いい選手の育成じゃなくて、いい大人を作る為のサッカースクールなんですね。

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そうなんです。「良い大人を作る。」というのが、ACミランサッカースクールの世界展開の共通キーワードで、その為にカリキュラムを組んだり、指導方法があるんですよね。
その話を聞いた時に、僕も同じ想いだったんです。
例えば、スポーツをやっていて怪我をして、ダメになって潰しが利かないっていう人も今まで見た事もあるし、結局、人としてしっかりしていない人が、スポーツ選手として成功していないのも見てきました。
だからまず子供達には技術とか、週末の試合に勝つ事よりも、本来運動によって培われる精神性だったりとか礼儀だったり、人としてのベースになる所を学んでもらいたいという風に思っていたんです。
それがACミランもやりたい事が同じで、なおかつ世界でも有数のスポーツグループであるACミランの考えであれば、子供達も「ACミランが言うならそうなんだ。」と、聞き入れてもらえるかなと思い、
凄く良いプロジェクトだなと思って「是非一緒にやりましょう。」という事になったんですよね。

お互いの熱い気持ち同士で、大分に生まれたサッカースクールなんですね。
今は、井尾さん自身がサッカースクールの運営をされているという事で良かったですか?

そうですね、ピッチで直接指導という事よりは、このスクールを実施するグラウンドを確保する為に、
スタッフの力を借りながら行政と話をしたり、プロモーションや、ミランとの契約を結びに行くとか、ミランからの応援要請をとりつけるという、法人の代表としての仕事ですね。

代表としてのお仕事って大変ですよね。そういった中で、楽しい部分って何がありますか?

事務局や指導スタッフから、ミーティング、メールでと、いつもいろんな形で報告を受けるんですけど、その時に「幼稚園生のクラスでずっと半年間ピッチに入れなくて、
「お母さん、お母さん。」と言ってた子が、ピッチに入れる様になりました。」とか、「やっと友達の輪に入れるようになってきました。」という言葉が聞けたり、
これは保護者の方から聞きましたが、ルカ(ACミランから派遣されているコーチの先生)と話をする為に、小学生の子がNHKのイタリア語講座を見る様になって、
「コーチと話したいから、勉強する。」と言って、「自主的に語学に取り組むようになって、それが面白いんです。」とか、
後は、お父さんがACミランファンが多いので、「息子がお父さんと話すキッカケが出来て、家族での会話が増えたんです。」と喜ばれたりして、そういうのを聞くと、
「あ〜。やっててよかったなぁ。」って思いますね。家族の会話が増える。というのは、すごいよく言われるんですよ。
子供が家で話すようになってくれたとか、「こんな事やってるんで。」みたいに自慢気に話してくれるみたいです。そういうのを聞くとやっぱり、嬉しくてテンション上がりますね。

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お子さんが成長している証ですよね。家庭にも影響があるというのは、嬉しい事ですね。井尾さんの目標や夢は何ですか?

今春が3年目なんですけど、この子達が社会人になった時にどんな仕事についてるかな。というのがすごい楽しみなんです。
スポーツの仕事って、選手だけじゃないんですよね。
例えばACミランもそうなんですけど、クラブを支える為に、分析する仕事の人、広報の人、外国人と交渉する人、コーチになる人、選手になる人等、凄い分野が広いんですけど、どうしても子供達ってサッカーをやってて、サッカーの選手になる事だけが目的になっちゃうじゃないですか。
だから、こうやってスクールをしていく中で、ACミランで働くスタッフの仕事を紹介していこうと思っています。そういった中で子供達がこの時の経験をキッカケにスポーツトレーナーになりたいと思って、トレーナーになったとか、イタリアと日本をもっと仲良くさせたいと思って、外務省に入ったとか、そういう子供達が大分からいっぱい出たり、
「将来何がやりたいか?」を、学生の頃に考えた時、思い浮かばない事って多いじゃないですか。でも、このスクールの子達が「あの仕事が格好良かったから。」と、選手以外でもやりたい仕事がどんどん出てくる様になるのが僕の目標ですね。

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そう考えると、お子さん達の夢を広げる事って、凄い教育になりますよね。

もちろん、ひょっとしたらスクールの中から日本代表が出るかもしれません。
その可能性を秘めたサッカースクールでもあると思います。

僕自身サッカー経験は豊富じゃないんですが、観戦大好きなんですよ。ACミランだとカカが好きですね。某サッカーゲームでは外せませんね。

なるほど!カカですね!以前そのカカから大分のスクール宛に手紙がきましたよ。
今回子供達に向けて手紙を書いてくれたのと、ユニフォームまで送ってきてくれました。
ミランの選手ってアットホームで、本当に気さくなお兄さん達だと聞いてます。
僕はイタリアに行って、トップチームの選手とは1回しかお会いした事ないんですけど、クラブの雰囲気自体はファミリー的な感じですよ。
スタッフの人達もフレンドリーです。そういう人達と一緒に仕事できるのも、楽しみの一つでもありますね。

カカからの手紙は羨ましいですね!スクールのコーチって現地からいらっしゃるんですか?

そうですね。今のコーチのルカは、ヴェローナという女子チームの、UEFAチャンピオンズリーグの女子リーグで優勝した時のコーチなんですよ。そこからACミランに来て、ACミランでコーチをやってます。
以前は、グラッツィアーノというコーチが1年間大分にいたんですよ。彼は元イタリア代表ですね。
怪我をして選手としては短かったんですが、チャンピオンズリーグに出たり、ACミランのトップチームの選手で、オランダトリオとかと一緒にやってたメンバーが大分に来てたんですよ。

ACミランには、コーチがそんなに多くいらっしゃるんですか?

スクールのアカデミー部門というのがあって、アカデミー部門の中に「ミランジュニアキャンプ」と、「ミランサッカースクール」というのがあって、サッカースクールの中では世界最大級ですよ。
イタリア国内で100校以上あって、世界でも20カ国以上で展開してます。
イタリア以外だと、「アメリカ」「オーストラリア」「ガボン共和国」その他に中東にもスクールがあるんです。国の大小問わず世界展開しています。
それと、ミラノ市にあるミランのサッカースクールは、「チェントラ・スポティーバ・ビスマラ」という施設があって、意味は「チェントラ=センター」、「スポティーバ=スポーツ」「ビスマラ=地名」だから、「ビスマラ中央スポーツセンター」みたいなニュアンスです。
そこにこの間、視察に行って来たんです。コートが11面あって、そこで施設いっぱいにスクール生とコーチがいました。現地のスクールはコーチがいて、アスレチックトレーナーがいて、アナリストが2人ついてデータ分析して、カウンセラーが2人ついて、子供達の精神状態等を観察してて、一つのコートに6人位コーチが付いてやってるんですよ。
それぐらいアカデミー部門は力が入ってるんです。

さすが名門ですね。力の入れようが半端じゃないですね!

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ミラノ市の公立の小学校へは、ACミラン側からプログラムの説明や目的を伝えて、それだけのお金と設備と人員をかけている事を理解してもらいます。一部の生徒さんは、学校を公的に毎週早上がりさせてもらい、そこに行って学ぶ事に価値があると認められているんです。昼の1時、2時になると、グラウンドに小学生が集まり始めて練習するという感じです。夕方は家族で作りたてのごはんを食べるのがコミュニケーションの原動力。と教えていて、日が沈んだら、家に帰って夜ご飯食べて早く寝なさい。というのが、コミュニケーションの基本だからと伝えています。そういう育成方針って大事ですよね。
本当によく考えていて、学ぶべき点があると思います。
ただ、日本の方が優れている点もいっぱいあるんですよね。
そこには自信を持ってます。規律正しい部分であったりとか、国民全体の意識レベルというのは高いと思うので、そこは逆にイタリアに伝えていきたいですよね。

最後に井尾さんの原動力を教えて下さい!

子どもの笑顔ですね!社会的な環境を見ても、今の大人が「少子高齢化」や「税金の使い方」等のツケを残してるじゃないですか?
だから子供達には国がどうとかじゃなくて、保護者世代と僕達の世代が今出来る事をやった方が良いと思うんですよね。
それが、絶対に必要だと思うし、50代、60代の方が孫世代の子供達にできる事もあると思うんですけど、20代、30代のこの世代が今の子供達にできる事もあると思うんです。
だから世代に応じた子供達への貢献というか、次世代に対するアプローチが大事だと思います。
僕の場合は、それが笑顔で返って来るので、原動力になりますよね。

なるほど。僕ら世代の行動が今の子供達に、良い影響を与えれないとダメですよね。非常に勉強になります。
井尾さん、お待たせしました!前回インタビューさせて頂いた大土井さんから、質問がありますので、お答えください!

—Q.大土井さん:「カラオケでの十八番は?」

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A.井尾さん:カラオケ〜っ??カラオケ行かないんですよね。えー?なんだろう?何歌うんだろう?(笑)

普段から全く行かれないんですか?

A.全然行かないんですよ…。あっ!前のコーチのグラッツィアーノが来てた時に、
彼がすごい歌が好きでカラオケに行って、その時に歌った唯一歌える、サザンオールスターズの「希望の轍」で!(笑)

小さな頃からのスポーツにかける情熱が、これからの大分をもっと楽しくしてくれそうで、子供達も大人達も非常にワクワクさせてくれる井尾さんでした!

次のhassh.inは誰でしょう?

次回の「hassh.in」は、以前勤めていた会社で後輩にあたり、ACミランサッカースクールの良き理解者でもある、木原さんです!

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